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資料室の恋人
第2章 C棟とエッフェル塔
***
「佐倉先生いらっしゃいますか?」
佐倉が次の講義の準備をしていると、扉がコンコンとノックされて、女子学生が研究室に入ってきた。
「はい、どうしたの?」
「あの…さっきの講義で分からないところがあって…」
女子学生が教科書を開いて話しだした。
佐倉は彼女の話を聞きながら、教科書の文字を目で追う。
「ああ、ここはね…」
絵に描きながら説明すると、彼女がなるほどと頷いた。
「この辺難しいと思うから、分からなくなったらまた聞いて」
「はい、ありがとうございました」
佐倉が微笑むと女子学生は恥ずかしそうに笑って、研究室を出ていった。
扉が閉まるのを確認すると、途中だった講義の準備を再開する。
すると、またドアがノックされる。