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資料室の恋人
第2章 C棟とエッフェル塔
***
「ひーより!おはよ!」
駐輪場に自転車を停めていると、後ろから肩を叩かれた。聞き慣れた声に振り返ると、高橋直也と木村明里がいた。
「日和おはよ~」
「もー痛いよ!叩いたの直也〜?」
「俺じゃねーよ、明里だって」
直也が明里を指差すが、悪怯れる様子もなく、にひひとポニーテールを揺らしながら明里が笑った。
「あ、そうだ。日和さあ、今日暇?」
学食へ向かっている途中、直也が思い出したように言った。
「今日飲みに行かね?明日は講義無いだろ?」
「あー、ごめん。用事入ってて」
そう答えると、明里がえ~!と言いながら横から日和の顔を覗き込んだ。
頬をぷくりと膨らましている。
「また図書室~?」
「なにお前、図書室行ってんの?」
「うん、まあ…」
学生で賑わっている学食に着くと、日和はそう言いながら食券を買った。
空いている席を見つけると、日和と直也が座るが、明里はムスッとした顔で突っ立ったまま座らない。
「明里?座らないの?」
「じゃあ待つ!」
「は?」
「日和が本読み終わるの待ってる!だから行こうよ〜!」