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資料室の恋人
第2章 C棟とエッフェル塔
「こちら4年の松木航平先輩!この子が日和です!」
「日和ちゃん、よろしくね!」
日和はぺこりと頭を下げて、できるだけ硬くならないように微笑む。先輩は笑うと出来るえくぼが印象的な、いわゆる爽やかイケメンだった。
身長は180㎝以上はあるだろう。
「なんだ~航平先輩じゃないすかー!」
「お~直也じゃん!」
直也と航平がハイタッチして笑いあう。
直也、先輩と仲良いのー?と明里が言っているとビールとお通しが届いた。
明里が航平の為にビールを追加で頼み、直也の前に明里が、日和の前に航平が座った。
爽やかイケメンが目の前にいたため、最初は緊張していた日和だったが、お酒が入ると自然に振る舞えるようになってすぐに打ち解けた。
「航平先輩は法学部なんですね」
「うん、置いていかれそうだけどね!3人は文学部なんだよね?」
「あんまりパッとしないすけどね~。まぁ、こいつは本大好き人間だから楽しそうですけど」
直也は日和を指差して笑うと、ジョッキに口を付けた。
明里も日和に向かって何か言ったが、アルコールによって既に出来上がっていて何を言っているのか不明だった。
「日和ちゃんは本が好きなんだねー。俺も好き。今は何か読んでるの?」
「最近は、生物学とか興味あって…」
「へー!めっちゃ難しそう!」
本談義は尽きず、途中、入ってこれなくなったのか直也が頷くだけで無言になっていた。
久しぶりの居酒屋は航平の登場によって盛り上がり、時間はあっという間に過ぎていった。