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資料室の恋人
第2章 C棟とエッフェル塔

「な、なんですか!笑わないでください!」
「ごめん、ごめん。あ、そうだ、コレあげる」

笑いを堪えながら佐倉が渡してきたのは、銀色の紙に包まれたチョコレートだった。
エッフェル塔の形をしている。

「経済学部の先生から頂いたんだ。三木さんにもあげる」

佐倉が食べるのを見て、日和もチョコレートを口に入れる。ほろ苦い甘さが広がり、それと一緒に変な緊張がほぐれていくのが分かった。

こうやっていつも佐倉のペースに引き込まれて、からかわれる。何が楽しいのかさっぱり分からないけど。

佐倉は日和ににっこり微笑んだ。

「今日の事は気にしなくていいよ。もともと俺の用事で開けてるし、約束してたってわけじゃないし」
「別に気にしてないです」

すかさず答えると、そうですかと笑った佐倉は、スーツの胸ポケットからメモ用紙とボールペンを取り出して、何かを書き始めた。


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