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資料室の恋人
第3章 出さないメール

「実はお店で何度も日和ちゃん見かけてて。注文とったこともあるし、いつも同じもの頼むって知ってた」
「そうだったんですね、びっくりしました」

よく来ている店だったので、何度も見て当然だ。しかし客の方は店員など覚えてないものなんだなと日和は思った。

「すみません、全然気付きませんでした」
「いいのいいの!今日は日和ちゃんとデート出来てるし」

航平がえくぼを作ってにかっと無邪気に笑う。いつもの笑顔とは少し違う、子供のような笑顔だった。

えーっと、これはどう返したらいいんだろう…。

日和が困惑しながらとりあえず笑っていると、注文したパスタとセットのサラダが運ばれて来た。
わぁ、美味しそう!と、わざとらしく言ってパスタへと意識を向ける。

「本当に好きなんだね、そのパスタ」
「もちろん!温かいうちに食べましょう!」

パスタに救われたと思う日和。
絶妙なタイミングで運ばれて来てくれてありがとう!
おかげで誤魔化せたよ!今日も美味しくいただきます!

日和は普段より感謝を込めて、いただきますと言った。

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