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資料室の恋人
第3章 出さないメール
「すみません、ご馳走になってしまって」
店を出たふたりは並木道を歩いていた。日差しはあったが、風は涼しく過ごしやすい。
日和は航平に礼を言った。
「全然、気にしないで!バイト価格にしてもらったし」
「ありがとうございました。美味しかったです」
良かったと笑う航平。
大学前の大通りを歩き交差点まで来ると、航平は立ち止まって駅を指差した。
「じゃあ俺電車だから、こっちなんだ」
「はい、じゃあまた」
日和が笑顔で言ったが、航平は微笑んだままじっと日和の顔を見ている。
「どうかしました?」
「あのさ」
航平が少し緊張した面持ちで、辺りを見回している。
「?」
「日和ちゃんは彼氏とか、好きな人いるの?」