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第3章 出さないメール

何の前触れもない突然の質問に少し驚く。

「…彼氏はいないですけど、好きな人は、います」
「…そっか…」

小さくうなだれる航平。しかし、すぐに笑顔になったかと思うと、まっすぐ日和を見て言った。

「俺、日和ちゃんが好きなんだ」

突然の事に固まる日和。

「…え…？」
「前から可愛いなと思ってたんだけど…そっか、好きな人いるんだね」

航平の顔からは笑顔が消えていて真剣そのものだった。じっと見つめられて、日和は瞬きを忘れて赤くなる。

「でも、彼氏いないなら、またご飯とか誘っていいかな？」
「…あ、は、はい…ご飯なら…」

日和が絞り出すように答えると、真剣な顔から一変して満面の笑みになった航平はやった！と言った。

「じゃあ、また連絡するね！」

航平は、爽やかな笑顔で手を振ると颯爽と去って行った。日和はただ、航平の背中を見送ることしかできなかった。