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資料室の恋人
第4章 オレンジ色の部屋

「あ、わかった。彼氏ができたからだ」
思いついたように佐倉が言った。なんの脈絡もない言葉に驚く日和。
「え!?彼氏なんかいませんよ!」
それを聞くと、佐倉は、あれ?と首をかしげた。
「いつだったかな…駅前の交差点で男の子に告白されてなかった?あれ、付き合ったんじゃないの?」
それを聞いて、一瞬にして記憶が遡り、航平に告白された時のことを思い出した。
「かっ彼氏じゃないですよ!付き合ってません!…っていうか、みみ見てたんですかっ!?!?」
「うん、たまたま車で通りかかって…信号待ちしてたら三木さんが告白されてた。なんだ、てっきり付き合ったのかと思ってた」
日和は赤面してうなだれた。あの場面をまさか佐倉に見られていたなんて思いもしなかった。一番見られたくない人に見られていたとは。
「なんで断ったの?」
「なんでって…他に好きな人がいるからです」
言ってからしまったと思った。正直になんでもほいほい喋るとからかわれて遊ばれるだけなのに。

