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資料室の恋人
第4章 オレンジ色の部屋

「なんか…今日は素直だね」
「…いつもと変わりませんけど」

そうかなぁと笑う佐倉。

「4年の松木くんだったね」
「松木先輩知ってるんですか?」
「去年僕の講義受けてたから。面白くていい子だよね」
「…先輩はいい人だと思いますけど…好きじゃないのに付き合ったら、気持ち弄んでるみたいで嫌です」

ふーん、と日和の顔を覗き込む佐倉。
そして、お似合いなのに、と呟く。人の気も知らないで…と日和は思った。
日和は佐倉の言葉を無視して椅子に座ると、先ほど受け取った本を開く。

「好きな人に好きだって言えるのは、羨ましいな」
「…先生も好きな人いるんですか」
「いるよ。相手が俺のことどう思ってるかは謎だけど」

見つめられて日和はどきりとしてしまう。
それと同時に、その言葉に傷つく自分がいた。先生にそういう人がいるってことは想定内だったのに。どうしてこんな話をしているんだろう。いつものように、平穏な時間が過ごしたかったのに。ざわざわと心が波立つ。


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