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資料室の恋人
第4章 オレンジ色の部屋
「なんで泣いてるの」
「…泣いてません」
「じゃあこっち見てよ」
「もう離してください…!」
俯いたまま振り払おうとする日和。
佐倉は腕を引っ張って引き寄せると、日和の腰を抱いた。
「ほら、泣いてる」
「ちょっ、何してるんですか!遊ばないでください!」
「遊んでないよ」
日和は体をよじって佐倉の腕から逃れようとする。
「離してください!」
「離したくない」
腰に回された手に更に力が込められる。
「な、なんでこんなことするんですか…!?」
「好きだからだよ」
日和はシャツ越しに伝わる体温を感じながら、その言葉に驚いて佐倉を見上げた。数秒見つめ合うと、佐倉が微笑んだ。
「三木さんが好きだからだよ」
…え?
聞き間違いだよね。
「何そのリアクション」
「え、あの…え…?」
「え?じゃなくて…三木さんの事が好きだって言ってるんだけど」
「……えっと…どういう意味ですか…?」
「そのままの意味だけど。からかってないし、遊んでない…何度も言わせないでよ、恥ずかしくなるでしょ」
佐倉は日和から目線をそらすとそっぽを向いてしまった。
まさか、目の前の好きな人が自分のことを好きだなんて…これは、これは……
「う、嘘、ですよね?」
日和が訪ねると、佐倉は眉間にしわを寄せてため息を吐く。
「…行動で示せってこと?」
次の瞬間、佐倉の顔が近づいて唇が触れる。