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資料室の恋人
第6章 雨の流れ星
講義が終わり、いつものように足早に資料室へと向かう。相変わらず雨が止む気配はなく、廊下は暗い。実際の時間より遅く錯覚する。エレベーターを降りると、資料室からは光が漏れていた。
日和は資料室の扉をゆっくり開けるが、いつもの佐倉の声はしない。
「先生?」
佐倉が座るいつもの席を覗くが姿は無い。
トイレにでも行っているのだろうか。そう思いながら荷物をおろしていると、後ろから勢い良く抱きつかれる。
「きゃあ…っ!」
驚いて振り向くと、佐倉がにんまりと笑っている。
「びっくりした?」
「驚かさないで下さい…!」
佐倉が手を離して日和を解放すると、日和は佐倉から少し距離をとった。
「なんで逃げるの」
「近いからです」
「俺のこと好きじゃないの」
「そうじゃなくて…誰かに見られたらどうするんですか?」
佐倉は、じゃあと言うと、また日和を後ろから抱きしめる。
「ちょっ、ちょっと先生!」
そのままズルズルと引っ張られて、本棚の陰へ連れて来られた。