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資料室の恋人
第6章 雨の流れ星
「んんっ…ちょ、もう!」
いつまでも終わらないキスに日和は佐倉を押しのけた。
「いつまでしてるんですか!先生も論文読むんじゃないんですか?」
「…なんか、つれないね」
しょぼんとする佐倉をよそに、日和は本を選び始める。
「メールもあんまりくれないしさ」
「用事ないですもん」
「それひどくない」
恋人のような存在で、恋人ではない。と日和は思っている。もはや恋人のようなものだが、その前に先生として接しなければ。だから、用事がなければ連絡はとらないようにしていた。立場を考えると、他愛もないことでメールや電話はできなかった。
「俺のこと好きじゃないの?」
日和の髪をいじりながら佐倉が言う。
「別に…そういうわけじゃないですけど…」
「けど?ちゃんと言わないとまたやるよ」
佐倉はうなじにふーっと息をかけた。同時に日和の体がびくっと震える。
「す、好きですってば!」
悲しいかな、頭で考えていることと心は違ったりするものだ。
日和が答えると佐倉が満足げに笑った。