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資料室の恋人
第6章 雨の流れ星
日和がしばらく待っていると、正門の前に車が停まった。運転席に佐倉がいることを確認して、足早に助手席に乗り込んだ。
「待たせてごめんね、寒くない?」
「いえ、大丈夫です。よろしくお願いします」
日和は家の場所を簡単に説明する。
日和の家は大学横の坂道を登った住宅街の中にあった。車では10分程だが、徒歩となると30分ほど歩く場所に位置している。
ふたりの乗せた車は大学を出ると、交差点の赤信号で止まった。日和はふと、この交差点で航平に告白されたことを思い出す。それだけで顔が赤くなった。
先生はあの時も今と同じように、信号待ちで私と先輩を見てたのかな…
「三木さんは普段車の運転する?」
急に話しかけられてどきりとする。
「たまにしますけど、あんまり得意じゃ無いです」
「あ〜苦手そう」
佐倉はハンドルを切りながら笑った。
私のこと知ろうとしてくれてるのかな?と日和は思う。
日和の苦手なことや好きなこと、考えていることを知ると、佐倉は必ず微笑むのだ。