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資料室の恋人
第6章 雨の流れ星
どのくらいキスしていたんだろうか。
どちらからともなく離れると、佐倉が言った。
「まだ帰したくない…って言ったら、また怒られちゃうね」
その言葉に、日和は心臓がどくんと跳ねるのを感じた。
そして、考えるよりも先に口が動いていた。
「…私も、まだ帰りたくないです…」
言い終えてから言った言葉を理解する。なんて事を言ってしまったのか。恥ずかしすぎて佐倉を直視できない。俯いたままちらりと盗み見ると、佐倉はハンドルに顔を突っ伏していた。
「えっ、あの、先生?」
「…何でそんなに可愛いの」
日和が何も言えないずに赤面していると、ハンドルにもたれたままの佐倉が微笑んだ。
「うち来る?」
日和は俯いてしばらく固まった後、頷いた。
それは分からないほど小さなものだったが、佐倉にはそれで充分だったし、日和にとってはそれが精一杯だった。