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資料室の恋人
第1章 いつもの場所

ページをめくりながら、心理学受講したかったなぁ…と改めて思う日和。今年は無理だが、3年、4年では受けられるかもしれない。1年生に混ざることになるけど。
「受講したかったって思ってる?」
「え?」
「当たった?」
一瞬、心の中を読まれたかと思う。
まさか。
「今、心の中読まれたって思った?」
「え!なんでですか!?」
「また当たった?」
びっくりしてあたふたしている日和を見て、くすくすと笑う新任講師。
「何となく言ってみただけだよ」
「な、なんとなく?」
「そう、なんとなく。心理学勉強したからって心の中が読めるようになったりしないよ」
なんだ、とほっとした日和を見て、また笑う。
「…からかってます?」
「からかってないよ、ごめん、反応が面白くて」
それってからかってるよね、と思う日和。
目の前の意地悪な講師はくすくすと笑った後、ふぅと息を吐くと日和に笑顔を向けて言った。
「面白かったって言ってもらえて嬉しいなー」
「え?」
「ああ、その論文書いたの俺だから」

