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資料室の恋人
第8章 噂の先生

「せんせ〜!おはようございまぁす」
「なにその笑い方…怖いんだけど」

失礼な、と佐倉に淹れたてのコーヒーを手渡した森山はひそひそと耳打ちをした。

「佐倉先生の援交疑惑浮上中」
「はぁっ!?」

聞くなり大声を出してしまった佐倉。はっとして辺りを見回すと、皆、苦笑いを浮かべて目を逸らした。

「どういうこと?意味がわからないんだけど」
「私に聞かないでくださいよ…でも朝から噂になってますよ」
「そうそう、小さい女の子連れてたって…中学生くらいの」

浅野が割り込むように言う。浅野も森山も興味深々といった顔で佐倉を見ている。

「全く身に覚えが無いんですが」
「先週の土曜日だったかな?手も繋いでたって噂だけど、本当かよ」
「院の方でも噂になってますよ、佐倉先生人気だから〜」

先週の土曜日…

「ああ、そういえば」
「えっ!!」
「中学生と!?」

身を乗り出して目を丸くする浅野と森山。

「いやいや、それは無いから。誤解だから」
「だよな、さすがにな…でも佐倉ってロリコンぽい顔してるよね」
「どういう意味ですか。背が低いってだけで、彼女はちゃんと成人してますから」
「やっぱり彼女さんなんですか?」
「まぁ…」

そう言うと、森山と浅野が顔を見合わせてニヤニヤと笑い合っている。他人のそういう話は楽しいようで、2人は、佐倉がなぁ…とか、悲しむ子いっぱいいるだろうなぁなどと言っている。

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