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あの口づけは嘘じゃない。
第3章 2人で会うけどデートじゃない
真紀には去年から付き合っている彼氏がいる。
真紀は明るくて可愛くてスポーツが出来て、向日葵みたいに周りを照らすから、男女問わず人気があるし当然のことだと思う。
彼氏ができる前は呼び出しやらラブレターやら、とにかくすごかった。
「もう、つれないなぁ。
そりゃあ、学校中のアイドル・愛菜様が彼氏なんか作った日には、相手の人の命が危ないけどさ。華のJKだっていうのに、好きな人の1人や2人できないのが疑問だよ。」
“学校中のアイドル”なんてものになった覚えはないけど。
まぁ、いわゆるスクールカーストでの一軍ってとこに入れられて、チヤホヤされてるとは我ながら思う。モデルをやっていた母と、俳優の父を持つことが理由で私まで芸能人のような扱いを受けている。
「好きな人ができないもんはしょうがないでしょ。恋だの愛だの、口で言うのは簡単だけど難しい感情じゃん。」
「おっ。でた、愛菜の深イイ言葉。
…まっ、ホントに好きな人ができたらさ、私には言ってよね。じゃないとちょっと寂しいよ。」
「…うん。できたらね、できたら。」
一瞬、昨日の宮下さんの横顔が脳裏を掠める。
ないない。恋愛感情はない。
頭をブンブンと振って宮下さんの顔を消し、お弁当に手を伸ばした。