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あの口づけは嘘じゃない。
第3章 2人で会うけどデートじゃない
2人っきりだけど、デートじゃない。
デートっていうのは、良い感じの男女が2人で遊ぶことを指すんだから。
浮ついてる自分に嫌悪感が込み上げる。
恋愛ごっこにときめいている自分が嫌で堪らない。
「また愛菜に彼氏が出来たなんて、お母さん知らなかったわよ。どんな人なの?
愛菜は結構面食いだからイケメンかしら。
智也くんもかっこよかったし。
写真ないの?」
…待って。
やめて。やめて。やめて。
あんなやつの話を持ち出さないで。
全てが気持ち悪くて、頭が痛い。
「…違う。彼氏なんか出来てない。
それに、私はお母さんほど面食いじゃないから‼︎」
そう吐き捨てて、自分の部屋に向かって階段を駆け上がる。
「愛菜っ?!ご飯はっ?!」
「要らない!!」
ごめん、お母さん。お母さんは知らないから、しょうがないのはわかってるけど。
まだ私、あいつを許せてないの。
あいつの事が大好きだった気持ちも、嫌悪に塗れてもう思い出せないの。
「…うーん。あと2時間…なにしよう。」
こんな気持ちでご飯なんて食べる気にもなれず、勉強をする気も起きない。
「早く来ないかな…。」
待ち遠しい。
あの人と話せば、少しだけ、心が軽くなるような気がした。