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あの口づけは嘘じゃない。
第3章 2人で会うけどデートじゃない
『もう少しで着きそう。準備してて。』
その連絡の通知で目が覚めた。
気付いたら寝ていたみたい。
メイクが崩れてないか急いでチェックする。
よし、大丈夫。
玄関でブーツを履いて、マフラーを巻く。
スタンバイオッケーだ。
『着いた。出てきて。』
連絡を確認。
でも…なんかすぐ出て行くのはちょっと癪。
少しここで待とうかな。
いやでも…、来させといて待たすのは良くないよね。
そんな事、宮下さんは気にしない気がするけど。駆け引きしてるみたいで少し楽しい。
結局待たすのはよくないという考えに傾いて、宮下さんの車へ走り寄る。
あの日は暗かったからよく見てなかったけど、乗っている車も真っ黒で艶やかで、その中から顔を覗かせる宮下さんにとても似合っていた。
「助手席乗って。」
という指示に従い
「お邪魔します。」
と宮下さんの隣に座る。