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あの口づけは嘘じゃない。
第2章 始まり

「…えっ。宮下さんってお幾つなんですか?」

ホントは年上好きな私を見破られていたみたいで恥ずかしい。話題を変えたくて、男の人ならタブーじゃないだろうと願いつつ質問した。

「ん、今年29だよ。多分愛菜ちゃんと12歳くらい違うでしょ?」

「29…?うそだ、26くらいに見えるのに。」

ふふ、そう?と隣で満足気な顔。
あぁ、そういう風に無邪気に笑ったりするんだ。

「若く見えてるなら嬉しいや。でも年齢はホントだよ」

「26歳の学校の先生より、絶対宮下さんの方が若く見えますよ」

「え、まじ?やったー、勝った勝った!」

…可愛い。
冗談でもはしゃぐその姿が可愛くて、つい私も笑ってしまう。

「愛菜ちゃん、笑ったらもっと可愛いね」

「…はっ、え?高校生からかって遊ばないでくださいよ」

いきなり言うから心臓に悪い。可愛いと言われ慣れてないわけじゃないけど、この人に言われたらドキドキしてしまう。

「んー、思ったこと言っちゃうタイプなの、俺。」

そう言って、バックミラー越しにニコッと微笑む。

…反則です。

「あ、でもこれじゃあナンパしてるみたいだな。やめとこ」

そう言ってあはは、と笑い飛ばしてくれるから気まずくなることもない。大人だなぁと思う。


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