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オレンジ色のまま脳みそに焼きつけて、焦がして
第1章 無邪気なオレンジ




「きゃあああ!!何してるのユリたん!?」

声の低い男が無理矢理高い声を出したような変な絶叫を聞いて私はこのオレンジの男に何をされているのか理解した。

間違いなく、キスされている。

チュッと可愛らしいリップ音を出して唇を離したオレンジ色の男は小首を傾げて私に笑いかけた。

何なんだこの店は。

店員は恐らく(いや間違いなく)オカマだし、奇抜なオレンジ色の男は突然キスしてくるし。

店員の絶叫を聞いた店内の客やら他の店員が私達三人の様子をチラチラ伺ってくる。
客は興味本位から。
店員は顔を引き攣らせながら。

ここで私はキレるべきなのだろうか?
可愛らしく笑うこのオレンジ色の男にビンタをするべきなのか?

『こんな店二度とくるか!』と怒鳴って店を立ち去るべきだろうか?

私の選択は‥‥‥


「よかったら一緒に飲みます?」


オレンジ色の男と相席する、だった。

私の選択にオカマの店員は驚いた顔をしていた。

「相席しますよ。この坊やと」

「え‥‥‥でも‥‥」

「あ、お得意様を優先したいんですっけ?すいません、私はこの坊やとしか相席しません」

私の言葉に尚更驚いた顔をして口を開けるオカマの店員は、オレンジ色の男と私を交互で見る。
オレンジ色の男は『やった!』と呑気に喜び、足早に私の向かいのに腰を下ろした。

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