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第6章 一緒

1年も経つと私はフランス語もイタリア語もだいぶ理解できるようになった。

レイはレイの仕事があり、私一人で仕事に出かけたり、泊まりの仕事もあったりしていた。


フランスに滞在中、
「アリサ！」
懐かしい声で懐かしい私の名前で呼ばれた。
振り返ると神崎さんがいた。

「神崎さん！」
私は嬉しくて人前にも関わらず抱き付いてしまった。

「アリサ、元気だったか？ここにいるって聞いて来てみたんだ。なんだか…大人っぽくなったな…もっと綺麗になって…」
優しい目で私を見つめた。
神崎さんの優しい眼差しにドキッとしてしまい、思わず目を逸らしてしまった。

「レイは今どこに？」
辺りを見回しながら神崎さんは尋ねた。

「レイは、イタリアに戻ってるの。仕事が入っていて。」

「え？アリサ1人置いて？」

「私なら大丈夫よ。だいぶ慣れたし、マネージャーもいるし。」

「そうか…アリサも頑張ってるか…レイが居なくて良かったよ。アリサに触るだけで怒るからな。ははは。」

「神崎さんは…仕事？」

「ああ…。リフレッシュを兼ねてね。」

「そうなのね。」

私が日本を発ってから、神崎さんさスランプに陥っていると聞いていた。
少し痩せたような…元気がないように思えた。

「神崎さん？」

「ん？なんだい？」

「一緒に食事しましょうよ。」

私は神崎さんを誘っていた。
元気付けたかった。