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第3章 アリサでいる事

金曜日になり、私は急いで学校から帰宅した。
そして、神崎さんが迎えに来るのを待っていた。

保育園にまだ通っていた頃、ママが迎えに来てくれるのを待っていた時の気持ちのようだった。

いつもママが迎えに来てくれるのが楽しみだった。
ママを待っている間にあれを話そう、これを話そう、あれをしてあげよう…ママが私を見て優しい顔をして笑ってくれた幸せな時を思い出していた。

神崎さんが迎えに来ると、私は笑顔で出迎え、一緒に車に乗った。
私の小さな荷物は運転手がトランクにしまい、神崎さんと二人で後部座席に座った。

「よ…宜しく御願いします。」

「ああ、頑張ろう。」

車の中では明日からのスケジュールを神崎さんが大まかに言った。
5時半の起床で体操と散歩
朝食
そして語学
ウォーキング
マナー
歴史

「とりあえず、うちのブランドに合うようなモデルになってもらわないと。」

「は…はい。」

私は緊張して大きく深呼吸をした。

「いい目だ。その目が僕は好き。」

すっかり辺りは暗くなっていた。
薄暗い場所で車は止まり、運転手は後部座席のドアを開けると、トランクから荷物をいくつも出していた。

「ここ。軽井沢の別荘だ。スタジオも完備してる。集中してトレーニングができるよ。」
ペンションのような建物だった。とは言っても私はペンションとか今迄無縁の生活をしていたので、私の中のペンションのイメージなんだけど…

「では、日曜日の午後お迎えに参ります。」

「ああ、ありがとう。気をつけてな。」

「はい。ありがとうございます。失礼します。」

運転手は車に乗り別荘から出て行った。
二人きり？
え？えー？

「さぁ部屋に案内するよ。」

大きな吹き抜けのエントランスに階段があり、上がるといくつかの部屋があった。

一つの部屋のドアを神崎さんが開けると、ゴージャスというより、可愛らしい部屋だった。

大きめのベッドにデスクがあり、小さな窓がいくつかあった。
大きな鏡が壁面に張られていた。

「鏡で自分を良く見て、チェックしながら2日間暮らすんだ。」

「は…はい。」
私は部屋をキョロキョロと見渡した。

「さ、今日はゆっくりしよう。夕食だ。」