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POISON 〜プワゾン…毒
第3章 アリサでいる事
私は神崎さんと階段を降り、大きめのガラス入ったドアを開けると食事が用意されていた。
肉に野菜、見たこともないような料理もあった。

「食事は大切だよ。食事は身体だけじゃなくて、心も作るんだよ。モデルは洋服だけを魅せるんじゃなくて、素敵な女性に似合う洋服を作っていきたいんだ。でもやはりモデルだから洋服も綺麗に魅せて欲しい。ははは。だから制限はただ食べないんじゃなくて、ちゃんとしたものをちゃんと食べて…ね。」

私は神崎さんと席に着き、楽しく話しながら食べた。

夕食後に、一冊の本を渡され
「うちのブランドの歴史だよ。創業者の…僕の祖父だけど…そこからの話しだけどね。いろいろ覚えておいて。」

「は…はい。おじいさんが本になるのね…凄い。私は自分のおじいさんの事も父親さえ知らないから。ふふふ。神崎さんのおじいさんがどんな人なのか楽しみです。」

「あー、普通のおじいさんだったよ。10年前に死んだんだけど、好き放題いろんな事をやっていて、おばあさんはいつも文句を言ってたし、母親は…あ、母親が跡を継いだんだ。母親もいつも文句を言っていたよ。でも僕は好きだったなぁ。面白いおじいさんだったよ。」

「読むの…たのしみです。」
ふと著者を見ると【神崎智】となっていた。

「これ、神崎さんが書いたの?」

「あはは。そうだよ。僕から見た祖父って事で。」

「今夜読ませて貰います。」

「うん。あ、それから…あと1時間後にエスティシャンが来るから。綺麗にして貰って。」

「エスティシャン?」

「9月から10月はショーが目白押しだから。早く仕上げないと。あ、それから名前…アリサからサクラにして欲しい。日本人ってわかるし、サクラというモデルに成り切って欲しい。」

「サクラ…可愛い名前。ありがとうございます。」

「あ、僕はアリサと二人の時はアリサって呼ぶよ。僕はアリサっていう子に惚れたんだから。」

私はドキンとした。
惚れたって…?

体温が少し上がった気がした。

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