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POISON 〜プワゾン…毒
第4章 サクラになる
なかなかアパートが決まらなかった。
神崎さんがマンションを用意しようとしてくれだが、それに甘える事が出来なかった。
しかし、私がアパートを決めようとすると神崎さんはいろいろな理由をつけて反対した。
大きなショーに出ても私はまだまだ駆け出しのモデルで実績も経験もない。
このブランドとの契約が破棄されたら、私はたちまち仕事を失い、金銭的に困窮もするだろう。
神崎さんも援助を申し出てくれだが、一生援助してもらう事も出来ないし、身の丈にあった部屋を選びたいと思ったのだ。

何とか神崎さんを説得し部屋を決めたのだが、家具や家電調理器具から生活用品を神崎さんが用意しようとしていた。

小さなワンルームで風呂はなくシャワーのみの部屋で、小さなキッチン、添え付けの冷蔵庫しかないような部屋だが、ダブルベットを買おうとしたり、大型テレビを持ってきたりして、私はその都度断り、申し訳なく思った。
そして、こんなに私に良くしてくれる神崎さんに感謝していた。

「私、欲しいものがあるの。」
と神崎さんに言うと、彼は嬉しそうに
「よしっ!何でも言って。」
と言ってくれ、

「この壁面いっぱいの大きな鏡が欲しい。」
と伝えた。
自分の身体や表情を常に気にしていたいと思ったのだ。

カラーボックス一つにちゃぶ台のみ。
ロフトを寝床にしたら、十分な広さだった。

「アリサ、本当にこれだけでいいの?本当にここでいいの?」
何度も私に言ってくれたけど、私はここで十分だと伝えた。

後日、大きな鏡が壁面につけられると、部屋が明るく広く見えるようになった。
ついでに防犯カメラを付けてくれ、セキュリティ会社とも契約してくれたのだった。




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