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POISON 〜プワゾン…毒
第4章 サクラになる
何度か神崎さんからのから連絡が入ったが返事をせずにいた。

結婚したいとかという訳でない。でも奥さんがいるって…
別に騙された訳ではないけど…

私の心の中はもやもやしていた。

明日はメンズ部門のパーティーに出席しないとならない。
神崎さんと顔を合わすのが辛い…どんな顔をして会ったらいいの?
これからどんなふうに接したらいいのか…

頭の中がごちゃごちゃになってしまっていた。

布団の中に入ってもなかなか眠れずにいた。
すると午前2時過ぎに部屋のチャイムが鳴った。最初は無視をしていたけど、何度も鳴らすので、インターホンのカメラを覗くためにロフトから降りた。

「神崎さん!」

ちゃぶ台に置いたスマホは、着信の為に光っている。

何度もチャイムを鳴らし、近所に迷惑になるために、私は玄関のドアを小さく開け、

「ごめんなさい。今日は…気分が悪くて…」

「どうしたの?大丈夫?気分が悪いなら…傍にいてあげるから…」

「ううん。大丈夫…」

神崎さんはドアをグイッと開けて部屋に入ってきた。

「大丈夫か?」
そう言って私のおでこに手をつけた。

「熱は…無いようだね、お腹いたいの?気持ち悪い?」

私は俯いて首を振った。


「言ってくれないと、分からないよ。どこが痛い?」

私は自分の左胸の心臓に手を置いた。

「え?心臓?救急車を呼んだ方がいいかな。」
神崎さんはスマホを取り出した。

私は、神崎さんの手を掴み
「違う。」
と答えた。

「ん?違うの?」

「うん。違う。心が痛いの。」

「心?何かショックな事があったの?誰かにいじめられた?」

首を横に振り
「神崎さんは…」
私は言おうか言わないでいようか迷った。

「僕?僕がどうした?」

「奥さんがいたんですね。」
私は意を決して言うと

「あ、それか…知らなかったの?」

私が頷くと

「奥さんはいるけど、今はパートナーかな。彼女はとても営業力もあるし、社員教育もうまい。子供もしっかり教育してくれているし…僕には必要は人だよ。」

そんなの知りたくも無い…心の中で思った。

「僕はアリサを愛してる。アリサも僕を愛してくれているんだろ?それだけじゃダメ?」

別に何が欲しい訳でもないけど…
涙が溢れ出ていた。

愛してる…ってなんだろ…


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