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SOS
第2章 虚空と現実
おい、悪魔……。
木崎は心の中で呼びかける。
すると、数秒のうちに
木崎の目の前に、悪魔が舞い降りてきた。
「何だ……」
分かっているくせに────
悪魔は気だるそうに、しかしどこか愉しげに、木崎を見下ろしている。
「俺の癌を治してくれ」
「……」
「俺の人生────このままじゃ、終われないんだ」
生きる希望を取り戻し、強い意志を持った木崎は、何も言わない悪魔に話し続ける。
「? なんだ? できないのか?」
木崎は悪魔に詰め寄った。
「死にたくない気持ちよりも別の欲求が勝る人間のところに悪魔は現れる。
でも、死を回避する願いを叶えられない、なんてことはないだろ?」
「あぁ……勿論だ」
幸福の道へと真っ直ぐ突き進もうとする人間に、悪魔は不気味に嗤(わら)うだけ────
「承知した────お前の2つ目の願い、叶えてやる」