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炎の薔薇
第10章 炎
「頼む………茜。
分かってくれ。本当にごめんなさい」
「私はあなたを一生恨みます。
私を傷つけた事を背負って生きていくといいわ。
あなたの幸せなんて今後一切祈らない。
いい?
あなたを心底恨んでいる女がここに居るって事だけは忘れないで!」
「分かった。それで構わんから。もう堪忍してくれ。お願いや茜」
和也の女々しい声の謝罪を聞いているだけで腹が立った。
あなたの奥さんは、あなたに何の興味もないから探偵を雇えるのよ。
そしてお金があるから出来たの。
本当にあなたを愛していたら探偵なんて雇わない。
自分の元に帰って欲しければ別の手段を選ぶはずよ。
本当に探偵を雇ってまで白黒つけたい女はね、亭主に三行半を突きつけられる威勢の良さも兼ね備えているわ。
あなたの奥さんはそんな女じゃないわね。
奥さんがあなたに帰って来て欲しいのはね、世間体を気にしているのとお金に困らない生活を捨てられないだけなんじゃないの?
あなたはそんなくだらない女との生活を選ぶわけね?
情けない声を出して、別れを私に懇願するあなたの声なんて聞いてらんないわよ!
バカヤロー
私は電話を切った。