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炎の薔薇
第10章 炎
「ママ、お酒ばかり飲んでお弁当は食べないの?」
心配そうに様子を伺う麻央の事でさえ煩わしく感じてしまう。
「たまにはお酒を飲みたい日もあるの。
麻央はお風呂に入ったり、宿題したりしなさい」
麻央に用事を作り、自分の側から離れるように追いやった。
ごめんね真央。今は優しくなれない。
あなたは何も悪くない。
悪いのは私。
女を捨てられず、母親にもなりきれてない。
愚かな私が一番悪い。
身勝手で最低なんだけど、今は一人にして欲しいの。
失ったものが大き過ぎて、どうにもならない感情を処理出来ない。
思い切り発狂したくなる気持ちを抑えるのが精一杯なんだよ。
本当に情けなくて、哀しくて、和也夫婦を滅茶苦茶にしてやりたい怒りの炎を何処にもぶつけられずにくすぶってる。
消化出来ない気持ちが悔しくて仕方ない。
一層、この理不尽な世界から消えてしまいたいとさえ思った。