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炎の薔薇
第10章 炎

 麻央は戸惑いながらも察したようで、その場を離れてお風呂に入り、「おやすみ」の挨拶を言ってから自分の部屋へと入って行った。


 ごめんなさい。
本当にごめんなさい真央。
こんな母親でごめんなさい。

 そう思いながらも、弱い自分を隠すように買ってきたありったけの酒の缶をあけて飲み、タバコを吸い続けていた。
だらしない女の姿で、心の中で和也夫婦への恨み節を唱えていた。

 妻に頭が上がらなくて、尻に引かれた座布団亭主なんて、一生飼い殺しにされればいい。

 探偵まで雇って、夫に証拠を突きつけ、上から目線で許してあげるだなんて言えちゃう女房って……何様だよ?所詮、座敷豚の分際で!

 あんた達なんて幸せになれっこない!

 しょぼいんだよ。お前ら夫婦!

 不倫の罪を苛まれて生きるがいい!

 その呪いでくたばっちまえ!

 心は呪いの言葉を繰り返していた。
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