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炎の薔薇
第11章 抜け殻になって
一旦崩れてしまうと、とことん崩れてしまうものなのかもしれない。
仕事以外は何にもやる気が起こらず、会社の弁当を社割で買って夕飯にする日が続いた。
仕事帰りには必ず酒とタバコを買い込み、家に帰ると欲するままに手を伸ばした。
心配そうに麻央はいつも私の隣に居た。
何か話し掛けたいのだろうけど、空気を読み、無駄に話し掛けてもこなくもなった。
娘には何にも関係ないのに……
こんな事で悩む前に、私はあの子の母親でいなければいけないはずなのに…分かっていながらも心がついていかなかった。
電池が切れた振り子時計のように、あの日から私の時間は止ってしまった。
最低な事をしたのだから、それなりの罰が下ったのだと、今なら冷静に考えられるが、あの時は自分を可哀想な人間にする事で保ってていたんだ。