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炎の薔薇
第12章 悪女の勝算
 
 話をしていれば、喉も渇くだろうからと私にドリンクを勧めてきた。

 村雨美代子ホットコーヒーを。
私はアイスティーを選んで部屋へと向った。

 小さなカラオケボックスの空間で大女と二人きり。

 重い雰囲気の中、向かい合わせに座る。

 村雨美代子は真っ黒なブランドものらしきコートを脱いだ。
チラッとタグが見えた。
イギリスを代表するBからはじまる高級ブランドのものなのだが、彼女が着ているとそうは見えない。
コートの下の黒いワンピースを着も喪服みたいだ。
多分何処かのブランドものなのだろうけど。
バッグも誰もが知っているLからはじまる高級品なのに、彼女が持つ事により品の良さを感じない。
村雨美代子に対する私の偏見がそう思わせるのかもしれないが、高価なものを身につけても、その容姿のせいで安っぽく見えてしまう人もいる。
また、安いものを身につけても高そうに見える人もいる。
どちらかといえば村雨美代子は前者の方だ。

 私も着ていたコートを簡単に畳んでバッグの横に置き、ゆっくりと顔を上げながら村雨美代子と目を合わせた。

 推定身長は約168センチくらい。
154センチの小柄の私から見ればかなり背が高く見える。
推定体重は100キロまであともう少し。
縦にも横にも大きい女。

 髪はだらしなく腰まで伸ばしていて、かきあげる仕草をよくする。

 『邪魔なら切れよ』と友達なら忠告しただろう。(余計なお世話?)

 化粧はしているのだが、肌の色より白塗りでダサイし、Tゾーンもテカテカで脂ぎってる。
未だにこんなおばちゃん丸出しの化粧する人いるのだと逆に感心しちゃうくらいダサい。

 とにかく、村雨美代子は私の想像を見事に裏切ってくれた女だった。

 
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