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炎の薔薇
第12章 悪女の勝算

「なんで貴女はそういう事しか言えないの?」

 散々喚き散らしておきながら、今度はメソメソ泣いてるんじゃないよ!
あんた自身も覚悟もしないで私を呼び出してるからこうなんだよ!

「私が奥さんなら、どうして和也さんが浮気をしたのかをまず一番最初に考えますね。
自分には問題はなかったのか、あらゆる可能性を考えます。
探偵は最終手段ですよ。
夫を取り戻したい気持ちがあるなら、探偵を雇うなんて気持ち悪い事しませんね。
私との関係が終わっても、奥さんの事を和也さんはこれから先どう思いながら過ごすんですかね?

 奥さんも離婚する勇気もないならね……
余計にそういう事は慎重になりませんかね?
今更何もなかった夫婦に戻れますか?
和也さんは頭が良くて図々しい人だから、それも可能ですかね?
これから先は多分浮気なんてしないでしょうしね。
自分が一番大事な人だし、また探偵を雇われる恐怖も十分ありますから、大人しく家庭に戻るでしょうね!」

「貴女、私を侮辱するの?」

「ある意味尊敬してます。
ずっと和也さんとのセックスを拒み、レスの生活を送らせても平気な奥様。
専業主婦に胡座をかいて、彼の寂しさも理解せずに息子さんのお受験には環境を整える為に探偵まで雇い、ご自分の立場を守る。
探偵を雇うお金も和也さんが稼いだお金ですよね?
なかなかのセレブで選ばれた人しか出来ませんよ。
奥様は自分が働かなくても、夫とセックスしなくても、夫の心が寂しさを抱えていたとしても、反省もなく妻の座を守ったじゃありませんか!
私みたいなゲスな人間とは天と地くらいの差がある人ですよ」



 はい。全部嫌味です!

 座敷豚さん!

 こっちが忘れかけた頃に現れて、また穿り出して、火に油を注いでんじゃねーよ!!

 腹が立つ女だ。全く!!
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