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炎の薔薇
第13章 炎の薔薇
喫茶店に入ってコーヒーを飲みながらタバコを吹かした。
村雨美代子……
やっぱり嫌いだわ。
だけど和也が選んだ女 。
和也が言っていた通りの女ね。
妻のプライドだけを私にぶつけてきて中身が空っぽな人。
あの夫婦にセックスがなくなったのは分かる気がするわ。
女を忘れてしまった妻を、無理して抱きたいとは思わないし、諦めもつくわよね。
夫はエリートで収入も高く、世間的には勝組だと言われる妻の座を不倫ぐらいじゃ捨てられないしね。
これからも立派な座敷豚として飼育して貰わないと!
何だかんだ言っても、あなた達夫婦はお似合いよね。
負けたわ
私は性格が歪に出来ているからさ、和也の幸せなんて願えないわ。
幸せにはなれそうもないわね………
あの奥さんじゃ無理よ。
それでも、あなたは自分の意思で選んだ道なのよね……
選択ミスだと思わない人生を歩むといいわ!
自分を捨てた男への未練に縛られたまま生きる事ほど不幸な事はない。
今思えば縋りつくような男でもないわね!
私を簡単に捨てたんだから、仕方ないわよ!
終わった恋の忘れ方は、決して自分を卑下しない事!
でも、和也
あなたに感謝してるの。
子供が一番大切だと気づかせてくれたわ。
例え夫婦が崩壊していても、子供に罪はないわね。
あの時、あなたの『子供は捨てられん……』と絞り出すような苦しみの声が今も耳から離れない。
そうよね。親ならそうあるべきよ。
あの時、あなたが選んだのは子供。
間違えてないわ。
あなたの決断。
あの女の言うとおり、もう名前も呼ぶ事もなくなるわね。
和也の事はキッパリ忘れると誓いも立てた。
私は笑う。
いらなくなった恋は、吸い終わったタバコのように消火してしまえばいい。
もう過去には戻らない。