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炎の薔薇
第1章 偽りのシンデレラ
湯葉懐石を楽しみながら、赤ワインを飲み、ほろ酔い気分の頭の中はいろんな思いを巡らせていた。
ーー
ー
「ところで、茜ちゃんから見た俺の印象はどうやった?」
「とても誠実な人だと思う」
「初デートでドキドキしてまうけど、茜ちゃんとは初めて会った気がせんのや。
勿論、会うまで文字で沢山話してきたからそう思うんやろうけど……
また会ってくれるかなって心配してしまう。
これっきりはイヤやな……って」
和也の精一杯の告白なんだと思った。
この人は私に出会わなければ、不倫の入り口まで歩み寄る人ではない。
どんなに奥さんに相手にされず、ただ家庭に収入を入れるATM夫のように扱われても、無駄に怒りはしないのであろう。
自分の感情すらも押し殺しながら毎日を生きるなんて、修行僧でも難しいのではないか?
それが出来てしまう和也が凄いとも思ったし、そんな和也と少しくらい息を抜いても、伴侶に悪気など感じる必要もないと思った。
でも、その時は次の返事に迷っていた。