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炎の薔薇
第1章 偽りのシンデレラ
「お世辞でも嬉しいわ」
そう言って、私はデザートを口に運び、間を取った。
「お世辞じゃないよ。
俺と茜ちゃんじゃ、やっぱり釣り合い取れんへんのかな?
俺見てがっかりしたんやろ?」
「ち、違うわ!
不釣り合いだと思うのはむしろ私よ!
私ね、普段は地味に暮らしてるの。
食費も節約してるし、たまに外食するにしても、回転寿司とかファミレスよ。
食事ひとつ取っても、和也さんとはレベルが違うの!」
「茜ちゃんだから見栄張るんやで。
嫌われたくないやん。
初デートでハイ、サイナラなんてイヤやろ?
こういう事でしかアピール出来んのよ」
「私も同じよ。
普段地味な分、こんな時こそ少しでも綺麗に魅せたいと思ったわ。
誕生日だから自分へのご褒美に久し振りに服を買ったの。
誕生日割引のクーポンで美容室にも行った。
私だって、こんな事でしかアピール出来ないの!」
本音が口から飛び出てムキになっていた。
「俺はそんな女女してるとこ見せてくれる茜ちゃんが物凄く可愛くて魅力的やと思うで。
いい女と食事するのは男として嬉しくなるもんなんやで」
久し振りにそんな風に言われたわ。
疚しささえなければもっと素直になれるのにね。