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炎の薔薇
第1章 偽りのシンデレラ
樹生の親は、樹生の借金のせいで我が家が生活苦となった事を知っている。
二度目の借金が発覚した時、樹生の親を呼び出し、ありのままの現状を伝えた。
こんな事が結婚してからずっと続き、離婚も視野に入れて考えていると、その時ハッキリと自分の気持ちを言った。
樹生の親は私に謝り、樹生を叱りつけたが、借金の返済に力を貸してくれる事はなかった。
丁度、樹生の弟が専門学校の入学を控えていた事もあり、金銭的な援助は出来ない状態でもあった。
その代わり、たまの休みの日は麻央を預かる事で少しでも息抜きをして欲しいと言われ、麻央の為にも離婚だけはしないであげてくれと私に頼み込んだのだ。
頼まれても、謝られても、『ハイ、分かりました。これからもよろしくお願いします』などと言えるはずもない。
ただ、自分の親に泣きついて助けて貰うわけにもいかなかった。
私の母はもうとっくに他界していたし、実家の父や同居している弟夫婦は祖母を介護していた。
そんな中、私や麻央が帰る家もない。
樹生の借金を返済する為に働いていたのだから、貯金などもない。
もはや神にも見捨てられてしまった環境の中にポツンと置いてけぼりにされたような状況だった。