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炎の薔薇
第1章 偽りのシンデレラ
そんな環境の中、麻央がひねくれずに育ったのは、樹生の親のお陰なのかもしれない。
近所に住む樹生の親は初孫の麻央を可愛がってくれた。
麻央は樹生の親をジィジ、バァバァと呼び、樹生の実家で週末を過ごす事を喜んだ。
誕生日やクリスマスなどのプレゼントや麻央の体が大きくなれば洋服などを買ってくれたり、旅行や外食にも連れ出し、麻央が親から与えて貰えない分を祖父母が叶えてくれていた。
口では、『助かります、有難う御座います』と言うが、心は違った。
誰だって、人の作った借金で苦しみ、返済の為に働くというのは、バカバカしいと思い、たまには息抜きしなければやってられないと思うんじゃないか?
『見放されても仕方ないだろ?あんたみたいな男!』と樹生を毛嫌いするようになっていった。
樹生の親に対しても、『あんた達が育て方を間違えたから、こんなクズ男に仕上がったんじゃないか!』と捻くれた真っ黒な感情に支配されてしまう。
世に言う三高なんてどうでも良かった。
平凡でもあったかい家庭が欲しかったんだ!
そんな些細な夢さえも見られなくなった。
腐った脳ミソで何度も何度も苦しみから解放される術を考えた。
私は不倫をする女を軽蔑していた。
でも……そんな形でも良いからと愛を求めるほど心は飢えていた。