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炎の薔薇
第1章 偽りのシンデレラ

 和也は自分の家路とは反対側のホームから帰る私を見送ってくれた。
電車は既にホームに来ていて、私はもう一度「ごめんなさい」と言って電車に乗り込んだ。
発車のベルが鳴り、ドアが閉まる。
和也はずっと私を見ていた。
私が和也にお辞儀をすると電車が発車した。
和也はそんな私の姿を可能な限り見送ってくれていた。


 もうこれっきりにしよう


 
 ネットで出会い、お互いに好意を持ち、会う段階までこぎつけても、何処か違う、あまり関わらない方が良いという予感があれば、これっきりにする事も可能なんだ。
一方的に連絡を取らなくなれば、リアルな出会いと違い、これっきりになる事も簡単な事でもあった。

 ユラユラと電車に揺られ、窓辺に映る自分の姿や景色を見ながら、今日を振り返る。
引き返せる場所にいるのなら、互いにそうするべきなんだと正論じみた事を考えていた時にバッグの中の携帯が振動し、それを手に取り確認した。

 和也からのメールだった。
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