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炎の薔薇
第1章 偽りのシンデレラ
食事を楽しみながら和やかな時間を過ごす。
目の前の男が、私に好意的なのは瞳を見れば分かる。
「茜ちゃんとこうしていると楽しい」
その言葉に嘘はないのだろう。
人は好意がある相手に自分を良く見せる事を自然と意識してしまう。
声のトーンすら、『あなたが好きです』と訴えかけるように話しかける。
そのトーンが私の耳を刺激し、ドキドキを加速させてゆくんだ。
「私も楽しいわ。
こんな楽しい時間も久し振り」
互いに好意的であるという事。
だからこそ、無駄な言葉はいらなかった。
この気持ちに正直になれば、次のステップへと進んでしまうだろう……
今なら引き返せる。
引き返さなきゃと心がブレーキをかける。
進んではいけないと私を引き止める心の声が聞こえる。
今なら……
優しい思い出。綺麗な記憶として………誰も傷つけない。
分かりきったルール
タブーを犯そうとする愚か者
天使と悪魔は静かに戦う。