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炎の薔薇
第3章 雫

 裸にバスタオルを巻き、バスルームを出た。
和也はソファでテレビを見ていた。
私と目が合うと、「俺も浴びてくるね」と言い、足早にバスルームに消える。

 私はベッドの脇に座り、点いているテレビをボォーっと眺めていた。
先程のクリスマス特集は終わり、チャンネルはそのままの状態でサスペンスドラマになっていた。

 追いかけられる女が後ろから刺されて倒れる。
お決まりの司法解剖のシーンになり、視聴者へのサービスなのか、女の上半身が映し出された。

 死体役の女の裸体はスタイルの良い女優ばかりだ。
たまには太り過ぎの中年女の死体でも面白いだろうに……なんて、頭の中はこれから始まるセックスへの興奮をセーブするかのように、そのドラマの感想なんて述べていた。

 バスルームからシャワー音が聞こえる。
激しい雨を連想させるような音。
この音が鳴り終われば、私達はベッドでセックスをする。
もうとっくに覚悟は決まっている。

 男と女になるんだ。
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