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炎の薔薇
第6章 寂しがりやのうさぎ
 
 軽いバードキスの後、私は和也の顔を覗き込みながら聞いた。


「和也は私に会えて良かった?」

「勿論」

「後悔はない?」

「後悔ないなんて言うたら嘘になる。
罪悪感は感じる。
それでも自分の欲を優先したくなる。
救われたのは俺や。
こういう事を知らなければ、俺には全く縁がない世界なんやと思ってた。
でも、俺にも心がある。
居心地の良い場所を失いたくない。
だからと言って家庭を壊す気持ちもない。
狡いよな……
狡いけど茜を愛してる。
愛してしもうたんや!
時々いけないとは思いながらも、あの人が不慮の事故にでも遭って死んでくれたらな……なんて恐ろしい事を考えてしまう。
そしたら茜とやり直す人生が望めるのに……
ほんまにそんな事を想像する自分が怖なる」


 普通よ。
私も何度も考えたし、想像で何度も夫を殺してる。
不慮の事故にでも遭って、私や麻央に今まで辛い思いをさせた分、保険金で返して欲しいって思ったよ。

 人間はね、邪魔なものに消えて欲しいと願う生き物なの。
自分が幸せになる為にね。
だから実際に手を下してしまう人間も居るわ。

 でも、それは出来ないわね。
いくら邪魔でも、死んで欲しいのは妄想で留めとかないとね。
こうしてそっと息を抜くこそ泥くらいが丁度いいのかな?


 背徳の罪を背負ったこそ泥なんだよ。
私達は……

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