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炎の薔薇
第7章 妖艶さくら
ホテルの中にあるランチバイキングの店に訪れた。
「茜はローストビーフ好きやって言うてたからな。好きなだけ食べや」
「じゃあ遠慮なく」
ローストビーフフェアをやっていて、和也が前もって予約してくれていた。
白ワインで乾杯し、ローストビーフを頬張る。
「ここんとこラブホのルームサービスばかりやったからな。
美味いもんを茜に食べさせてやりたくなって」
「嬉しい。有難う!」
男って奴は釣った魚に餌をやるのを忘れる生き物だと思っていた。
でも和也は違った。
私にちゃんと餌を与え続けてくれたのだ。
セックスをして結ばれたからといって油断し、手抜きをする男ばかり見てきから、やっぱり和也は魅力的な男だと再認識出来る。
「桜見ながらボートに乗っても良かったんやけどな……」
「ボートを漕ぐ和也も見てみたかったな」
「大学の頃に聞いた噂にすぎんのやけど、カップルでボートに乗ると別れるなんて聞いた事あってな。それは嫌やって……しょうもない事気にしてしもうたわ」
「なら乗らなくて良かったんじゃない」
「そやな。気にするくらいやったら乗らんでもええな」
たまにはランチをとりながらのこんな会話もいい。
ホテルでセックスするのが当たり前となっても、その合間に恋人らしい事をちゃんとする。
春が来て桜を見る。
季節を通して思い出を作る。
秘密のデートは心のダイアリーに記せばいい。
私達は恋人なんだと