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炎の薔薇
第8章 甘く切なく……
いつまでもこの関係が続くようにと願った。
いつまでもこの関係が続けられると思いたかった。
自分の日常からは有り得ないような贅沢な時間を覚えてしまった。
結婚したらその環境に身を置き、それがどんなに辛いものであっても、耐え凌ぐのが本来の在り方だと思う。
もし、どうしても耐えられなくなり限界を迎えたのなら、離婚という選択肢もあった。
私自身はその選択を何度も見送っていた。
自分一人ならば、一からやり直す人生を簡単に選択しただろう。
子供がいるからそれが出来なかったは、狡い言い訳だと世間は言う。
でも、簡単にそれを言えてしまう人は、そういう苦労に無縁であり、幸せな賢い生き方をしてきたのだと思う。
少なからず私より順風満帆な結婚生活を送り、不倫には無縁な人間なんだと。
あの頃を振り返ると、私や和也に足りないところは何も知らない子供を犠牲にして来た事だった。
どんな理由があるとはいえ、子供には罪がない。
子供が居ながら、男と女の幸せを願うならケジメをつけた後にするべきだったのだと今なら思える。
今だから思えるんだ。