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滲む墨痕
第4章 一日千秋

 しつこいほどの賛辞は、否定的な思考に陥りがちな脳を幾度もすくい上げ、自己を肯定させようとする。悲観の沼底から引き上げられた孤独な精神は、今まで呪いのように心を縛りつけてきた劣等感まみれの泥を拭い落とし、少しずつ、本来の姿を取り戻そうとしている。

「こんなに褒めてもらえたの、初めてかもしれません」

 思わず呟くと、受話口からは「そうですか」と神妙な声が聞こえた。

「でも私、反射的に疑ってしまって……昔から怒られてばかりだからかなあ」

 冗談まじりに言ってみたが、電話の向こうは静まり返っている。

「……昭俊さん」

 たまらずにその名をこぼすと、「うん」と穏やかな声が返ってきた。
 そして、ふと彼は言った。

『信じて』

 おそらく、優しく眉を下げながら。

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