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滲む墨痕
第4章 一日千秋
陰裂を割るようにして押しつけられたスラックスの生地が、敏感な皮膚をぐりぐりとこすり上げてくる。ある一つの目的をもって。だが誠二郎の狂気により一瞬で血の気が引くように潤いを失ったそこは、何者の侵入も頑なに拒むように無反応を貫く。
妻が思いどおりの反応を見せないことに腹を立てたのか、鋭く舌打ちをした誠二郎は、ふたたび腕を構えると激しく筆を揮いはじめた。
肌の上を乱暴に這う毛束。それがついにはっきりと胸の先端の突起を撫で上げた。それから指や舌で転がすのと同じように、立てた穂先で何度も小刻みに揺すったり、横に倒した穂全体で押しつぶしたりした。
本来なら性感帯として機能するはずの小さな蕾は、言い知れぬ不快感を呼び起こす。感じることを全身が拒んでいるように。