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滲む墨痕
第5章 尤雲殢雨

 それからどのくらい走ったのか。いつも通る道を避けながら、とにかく遠くを目指した。しかし、どこまでも広がる田園風景は幼い勇気を軽々と呑み込み、炎天は冒険心を容赦なく削いだ。
 詰め込みすぎたリュックの重さに負けそうになり、妹は思わず道端にしゃがみ込んだ。

――お姉ちゃん! 待って!

 遠ざかる赤いリュックに向かって半泣きで叫ぶと、振り返った姉はすでに泣いていた。

――早くしないとお母さん来るよ! とーきょー連れてかれちゃうよ!

 父のことが大好きだった姉は、本気で逃げようとしていたのだろう。妹に背を向け、ふたたび走りだした。
 見知らぬ場所に一人取り残されるという恐怖は、臆病な妹を跳び上がらせた。

――お姉ちゃ……!

 だが駆けだしたとたん、わずかに盛り上がった地面につまずき、勢いよく転んだ。

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