この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
滲む墨痕
第5章 尤雲殢雨

 一瞬の衝撃、そして妹は泣きだした。じんじんと痛む膝はみるみるうちに血を滲ませ、赤く染まった。
 怖い、お姉ちゃん、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃん、お母さん、寂しい、もう帰りたい、家に帰りたい……。
 言いようのない感情が混じり合い、涙になった。立ち上がらず泣きつづける妹に駆け寄った姉も、張りつめていた糸が切れたように突然泣き声をあげはじめた。

 姉妹による決死の脱走劇は、その後あっさりと幕を閉じた。
 通りかかった見知らぬおばあさんが、子供たちが道に迷って泣いていると思って自宅に連れ帰り、姉妹の家に電話をして母に知らせたのだ。母が車で迎えにくるまでの間、彼女はけがの手当てをしてくれたり、お菓子をくれたりした。
 ずいぶん遠くまで来たと思っていた。だがそれは車なら十分もかからない“近所”だった。おばあさんは祖母の老人会仲間で、姉妹の顔も知っていた。

/335ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ