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滲む墨痕
第5章 尤雲殢雨
前をひらかれ、肩から抜かれた着物がするりと剥がれ落ちた。
白の長襦袢が晒された。軽くなった身体とは裏腹に不安で動けずにいると、「失礼します」という声とともに、藤田が身体に触れないよう丁寧に伊達締めと腰紐を取り除いた。
ひときわ大きく心臓が鼓動したとき、ついに長襦袢を脱がされた。長い髪は、藤田の太い指によってゆっくりと後ろに払われる。あらわになった首元を、彼が覗き込んできた。
「ここも……」
首筋を指でなぞりながら呟いた彼は、意気消沈した様子で視線を下げていく。だが不意に静止し、表情をこわばらせた。
低い咳払いが、彼の喉からわずかに発された。
スリップ型の白い肌襦袢。男の目には、その透けた生地の奥にある、なにも着けていないひかえめなふくらみが見えているのだろう。勃起した色づきが薄い布を押し上げ、うっすらとその粒を浮かび上がらせている。