この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
滲む墨痕
第5章 尤雲殢雨

「潤……」

 敬称をつけて呼ぶことをやめた彼の声は、優しさを残しつつもどこか無神経ともとれる猛々しさを孕み、静かに反抗心を煽った。

「そんなふうに呼ばないで」

 ぽつりと呟き、潤は心の中で藤田を責める。

――私を拒んだくせに。

 吐く息が震え、涙は次々と溢れてくる。堰き止めていた想いとともに。

「どうして私に近づいたの」

 湿った布越しに硬い胸板をこぶしで押し、疑念をぶつけると、困惑した表情で見つめられた。

「どうして、ずっと騙していたの……っ」

 今度はこぶしを弱々しく叩きつけながら言い放つ。
 眉をひそめた藤田が、「違う」と重い声を落とした。

「騙してなんかいない」

 強い語勢で言い切ったあと、彼は苦しげにうなだれた。

/335ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ